「なんだか奥歯のあたりがズキズキする」
「定期的に歯ぐきが腫れることがある」
「レントゲンで親知らずが映っていたけど、そのままにしている」
そんなお話を聞くことが少なくありません。
親知らずは、自覚がないまま静かにトラブルを起こすことがあるため、「今すぐ抜くべきかどうか、正直わからない…」という方も多いのではないでしょうか。
実際、抜いた方がいいの?
それとも大丈夫?
親知らずは、すべてが「抜いたほうがいい」 わけではありません。たとえば…
抜いた方がよい主なケース
1. 虫歯や歯周病のリスクが高い場合
• 親知らずが半分埋まっていて歯ぐきに覆われている
• 歯ブラシが届きにくく汚れがたまりやすい
• 隣の歯(第二大臼歯)に虫歯や歯周病を引き起こす可能性がある
2. 横向きや斜めに生えている場合
• 横向きに生えることで隣の歯を圧迫し、歯並びが乱れる
• 食べ物や細菌が溜まりやすく炎症(智歯周囲炎)を繰り返す
3. 繰り返し腫れや痛みを起こす場合
• 歯ぐきの腫れ、膿が出る、口臭が強くなるなどの症状を繰り返す
• 発熱や顎のリンパ節が腫れることもある
4. 咬み合わせや顎関節に影響している場合
• 上下の親知らずが正しく噛み合わず、歯ぐきに食い込む
• 顎関節症の原因のひとつになることもある
5. 矯正治療やインプラントの妨げになる場合
• 矯正で歯を動かすスペースを確保するため
• インプラントやブリッジ治療の妨げになる位置にある場合
6. 病変がある場合
• 親知らずの周囲に嚢胞(のうほう)や腫瘍ができている
• レントゲンで異常が確認された場合
抜かなくてもよいケース
• まっすぐ正常に生えており、清掃が可能で虫歯や炎症のリスクが低い
• かみ合わせに参加しており、機能的に役立っている
• 将来ブリッジのために利用できる可能性がある
つまり「抜く・抜かない」はその人の状態次第!
実際に抜いた方のお声
当院には、これまで多くの方が親知らずのご相談にいらっしゃっています。
- 他院で「大学病院で」と言われたが、ここで抜けた
- 抜いた後に「本当にもう終わったの?」と驚いた
- 痛み止めを使うことなく済んだ
このようなお声をいただく事が多く、沢山の患者様より感謝を頂いております。
もちろんすべてのケースとは限りませんが、処置の負担が少なく済むことで、術後の過ごし方にも大きな差が出てきます。
患者様の生のお声を一部ご紹介します
なぜこういったご感想をいただけるのか?
それには大きな理由があります。
抜歯の負担を軽くするカギは“処置時間”
親知らずの抜歯で多くの方が不安に感じられるのは
- 「どのくらい痛いのか?」
- 「どのくらい腫れるのか?」
ではないでしょうか。
これには、処置にかかった時間が大きく関係しています。
抜歯の処置時間が長くなるほど、痛みは増してしまうのです。
親知らずを抜く時間が長いとなぜ術後の痛みが強くなるの?
①組織の損傷が大きくなるから
時間がかかる=それだけ骨や歯肉を触る範囲が広がるということです。
- 長時間、骨を削ったり歯根を分割する必要がある
- 歯ぐきを大きく開くことがある
- 周囲の筋肉や粘膜にテンションがかかり続ける
これらによって、身体が“外傷”と判断するレベルの炎症反応が起こります。 つまり、体にとって「大きなケガ」と同じような状態になるのです。
②止血と修復の機能が追いつかない
傷が大きく深くなるほど、血流が不安定になり、止血・治癒に時間がかかります。 結果として…
- 術後に「じんじんと痛む」
- 翌日に「腫れや熱感が出る」
- 血のかたまり(血餅)ができにくく、ドライソケットのリスクが上がる
ということが起こります。
③神経や周囲組織へのストレスが増える
下顎の親知らずでは、下歯槽神経が近くを通っていることが多く、長時間の処置ではその神経や周辺の感覚に一時的なダメージが及ぶことも。
- 顎がしびれる
- 頬が腫れる
- 開口障害(口が開けづらい)
これらも「処置時間が長い=刺激が長くなる」ことで生じやすくなります。 このように処置時間が長くかかると傷が大きくなり、腫れや痛みも出やすくなります。 逆に短時間で処置できれば、体への負担はかなり軽くなります。
私が担当します
はじめまして、きむら歯科の木村亮太と申します。当院の親知らずの抜歯はすべて院長である私が担当しています。 難しい症例や、他院で「紹介が必要」と言われたケースでも、当院でそのまま処置できることは珍しくありません。
親知らずの抜歯と聞くと「痛そう」「怖い」と感じられる方が多いのは当然のこと。 実際、抜歯は歯科治療の中でも負担が大きくなりやすい処置です。 ただそれも“やり方次第”だと私は考えています。
これまで数多くの難症例を経験してきた中で、「いかに短時間で、身体への負担を少なくするか」を大切にしてきました。
抜歯にかかる時間が短ければ、術後の痛みや腫れも大きく変わります。だからこそ技術や経験だけでなく、丁寧な診断と準備を欠かしません。
実際に処置を受けられた方からは「もう抜けたんですか?」と驚かれることもあります。
痛み止めを使わずに済む方も多くいらっしゃいます。
もちろん、すべてのケースが簡単に済むとは限りませんが「怖い」「不安」というお気持ちに寄り添いながら、できる限り安心していただけるように、丁寧にご説明・対応いたします。
「紹介されて遠くの病院まで行くのは不安…」
「親知らず、抜いた方がいいのか分からない…」
そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。
無理に抜くことは決してありません。
今の状態を正しく知ることから、始めましょう。
より安全に抜歯するため必ずCT撮影を行います
親知らずを抜く際にCT(3D撮影)を行うのは、特に下の親知らずにおいて安全で正確な処置を行うために非常に重要です。
以下では、その理由をわかりやすくご説明します。
親知らずを抜くとき、なぜCT撮影が必要なの?
①神経との距離や位置関係を立体的に確認できるから
下顎の親知らずのすぐ近くには、「下歯槽神経(かしそうしんけい)」という大事な神経が通っています。
この神経を傷つけると…
・唇やあごがしびれる
・感覚が一時的、または長期的に鈍くなる
といったリスクがあります。
CTではこの神経の正確な位置が3次元で見えるため、神経を避ける安全な方法で抜歯ができます。
②歯の根っこの形や向きを詳細に把握できるから
親知らずの根っこは…
・曲がっていたり
・分かれていたり
・周囲の骨に複雑に埋まっていたりする
ことが多いです。
CT撮影をすることで、これらを事前に正確に把握できるため、「思ったより難しかった」「抜けない」「途中で折れた」といったトラブルを避けやすくなります。
③“歯の埋まり方”を正確に診断できるから
レントゲン(2D画像)では、奥の構造が重なって見づらくなることがあります。
CTを使うことで、以下のような親知らずの状態や骨の厚み、周囲組織との関係がクリアに確認できます。
・親知らずの位置、深さ、角度
・神経や骨との距離
・根っこの形や本数
これらを事前に把握することで、安全かつスムーズに処置を行うことが可能になります。
症例一部ご紹介
前述の通り、人によって歯の埋まり方や形などが違いますので、抜歯時間もこれらの要因で変わってきます。 そのため、全て同じ時間でできるわけではなく、簡単に抜歯ができる場合もあれば、複雑なケースもあります。 当院では難症例含め実に多くの症例がございますので、その一部をご紹介いたします。
抜歯症例①
ご覧いただいた通り、歯根の先が隣の歯と比べても湾曲しています。 通常よりも抜歯の難易度が上がる症例です。
【抜歯所要予約時間】
15分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例②
しっかり生えており、非常に磨きづらく虫歯のリスクの高い歯です。 上を2本とも抜歯しました。
【抜歯所要予約時間】
各15分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例③
ご覧いただいた通り、生えている向きが真横に近い状態で、 通常は時間を要する抜歯です。
【抜歯所要予約時間】
15分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例④
抜きにくいポジションでしたが、 時間を要さず抜歯できました。
【抜歯所要予約時間】
各15分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例⑤
完全に生えているわけではありませんが、 手前の7番目の歯と密着しており、 虫歯のリスク非常に高いため抜歯いたしました。
【抜歯所要予約時間】
各15分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例⑥
磨きにくく痛みを伴っていたため、 虫歯のリスクが高いと判断し抜歯することになりました。
【抜歯所要予約時間】
30分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例⑦
完全に生えているわけではなく、 向きも含めて難易度の高い抜歯です。 通常は1本60分要してもおかしくありません。 2本とも抜歯いたしました。
【抜歯所要予約時間】
1本30分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例⑧
親知らずに歯茎が被っており、虫歯のリスクが高い状態でしたので、 抜歯することになりました。 通常は60分以上かかる難抜歯です。
【抜歯所要予約時間】
30分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例⑨
完全に生えているわけではなく、 半埋伏という状態です。 別日で2本抜歯いたしました。
【抜歯所要予約時間】
各15分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例⑩
完全に生えているわけではなく、 半埋伏という状態です。 2本抜歯いたしました。
【抜歯所要予約時間】
右上15分・右下30分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
抜歯症例⑪
完全に生えており、 虫歯の原因になり得る為、 別日で3本抜歯いたしました。
【抜歯所要予約時間】
各15分
(麻酔の時間があるので処置自体はもっと短いです)
当院の親知らず
治療の流れ
レントゲン撮影で歯の状態を診させていただきます
親知らずを抜いたほうがいいかどうかを判断するため、まずはレントゲン撮影を行い、歯科医師がお口の中を診察いたします。う蝕の有無や歯の生えている角度などが重要なチェックポイントです。また、患者様からもお話をじっくりと聴かせていただき、歯や歯肉の状態を一緒に確認しながら、適切な治療方針を決めていきます。
治療計画をご説明いたします
歯科医師による診察結果に基づいて、親知らずの抜歯が必要なのか、それとも経過観察で良いのかなど、詳しい治療計画についてご説明いたします。どうしてそのような診断結果に至ったのか、その理由もしっかりお伝えしますので、疑問点やご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。抜歯が必要な場合は、今後の治療の流れや処置内容についても併せてご説明いたします。
歯肉を清掃いたします
抜歯前には必ず、歯肉の状態を整えるために歯石除去を行います。歯肉に炎症がある状態で抜歯を行うと、出血量が多くなってしまったり、細菌に感染しやすくなったりするためです。また、抜歯後の回復が遅くなる可能性もあるため、必要不可欠なステップとして丁寧に清掃いたします。
抜歯直前の体調を確認させていただきます
歯肉の状態が整ったら、抜歯に移ります。抜歯直前には、患者様の当日の体調を口頭で確認させていただきます。いざ抜歯の直前になると、緊張などで体調が悪くなってしまう方もおられます。その場合は、無理に治療を行わず、別日に再度ご予約いただきます。体調に問題がない場合は、再度歯肉の状態をチェックした上で、治療を開始いたします。
CT撮影をいたします
歯の萌出方向、根の太さ、本数、根と神経との位置関係を確認するためにCT撮影をいたします。 より確実に状態を診断するため、 抜歯の前の来院日、もしくは抜歯当日にCT撮影を行います。 これにより、安全に抜歯を行う準備が完了いたします。 問題がなければ治療にうつります。
痛みに配慮した治療を行うため、麻酔を使用いたします
「歯を抜く」と聞くと、痛みが心配になりますよね。患者様の恐怖や不安をできる限り取り除くため、麻酔を使用いたしますが、麻酔注射自体が怖いとお悩みの方もいらっしゃると思います。当院では、痛みが出ないように麻酔を打つことはもちろん、麻酔自体にも痛みが出にくい工夫を施しています。患者様が極力リラックスできるように努めていますので、ご不安があれば、何でも気軽に歯科医師までご相談くださいませ。
抜歯の処置を行います
精密な診断、歯肉の清掃と体調確認まで終えたら、抜歯の処置に入ります。症例により、10分程度で完了する容易なケースな場合もあれば、30分近くかかる少々複雑なケースもございます。いずれの場合も、可能な限り患者様の負担を減らすため、迅速かつスムーズな処置を心がけておりますので、どうぞご安心くださいませ。
抜歯後に気をつけて
いただきたいこと
01.抜歯当日は安静にお過ごしください
抜歯すると出血し、その後かさぶたができます。かさぶたができるまでは、出血しやすくなっているため、飲酒や激しい運動、長時間の入浴を避け、安静にお過ごしください。飲酒・運動・入浴はいずれも血流を良くするため、出血量が増えてしまう可能性があります。
02.抜歯箇所を舌で触らないようにしてください。
抜歯した部分には、指や舌などで触れないようご注意ください。
かさぶたができてくると気になって触りたくなることがありますが、剥がしてしまうと感染の原因になることがあります。傷口を守るためにも、できるだけ刺激を与えないようにしてください。
03.うがいは行わないでください
抜歯後に激しくうがいを行うと、かさぶたができなくなる可能性があります。また、かさぶたが既にでき始めている場合も、激しいうがいにより、かさたが取れてしまうことがあります。そのため、抜歯後最初の3日間は強いうがいを控えるようにしてください。
04.腫れがひどい場合は、直ぐにご連絡ください
抜歯後は、抜歯箇所が腫れる可能性がございます。特に、下の親知らずを抜いた場合は、腫れが強く出ることがあります。腫れが出た場合には、保冷剤などで軽く冷やすと腫れの程度を抑えることができます。腫れのピークは通常3日ほどで、その後徐々に落ち着き、1週間程度でおさまります。冷やしても腫れがなかなか引かない場合や、腫れがひどい場合は、できるだけ早くご連絡ください。
05.出血が止まらない場合にしていただきたいこと
抜歯後は、かさぶたが形成されるまで出血しやすい状態が続きます。
出血が止まらない場合は、清潔なガーゼや丸めたティッシュを口に含み、しっかりと噛んでください。通常は30分ほどで止血できますが、それでも出血が続く場合は、当院までご連絡ください。
06.抜歯後の定期メンテナンスも忘れずに
抜歯後も定期検診を受けるようにしましょう。定期的に適切なメンテナンスを行うことで、歯並びや噛み合わせの問題をすぐに発見できたり、虫歯や歯周病を予防することができます。
よくある抜歯Q&A
Q.どんな親知らずでも抜歯できますか?
A.残念ながら、難しい抜歯があることも事実です。基本的には対応が可能ですが、どうしても当院でも抜歯ができない場合は、別の大きな病院へ紹介させていただきます。
Q.歯列矯正の際の抜歯より長く時間がかって痛いのはなぜ?
A.抜歯の難易度は、抜く箇所によって大きく異なります。
歯列矯正で抜くことが多いのは4番目の歯ですが、この歯は比較的小さく、まっすぐ生えているため抜きやすいのが特徴です。一方、親知らずは歯の根が複雑で、傾いて生えていることも多く、さらに一番奥に位置するため処置が難しくなります。そのため、矯正の際の抜歯と比べると、親知らずの抜歯には時間がかかる傾向があります。
Q.抜歯した歯はもらえますか?
A.ご希望がありましたらお渡しします。
Q.抜歯した親知らずを別の欠損部位に移植できますか?
A.理論上は可能な場合もありますが、歯の大きさや根の形など、さまざまな条件が揃わないと実現は難しいのが現実です。また、移植した歯は予後が安定しにくい傾向があるため、当院では現在、移植術は行っておりません。
Q.親知らずを抜歯すると歯が動いてすきっ歯になるって聞いたけど本当?
A.そのような事実はありませんのでご安心ください。
親知らずの抜歯は保険診療の対象です!!
親知らずの抜歯には健康保険が適用されます。そのため、保険診療に対応しており歯科口腔外科を扱っている歯科医院であれば、基本的にどこでも抜歯を受けることができます。
ただし、「抜歯ができる」=「抜歯の技術が高い」というわけではありません。
保険が使えるから、口腔外科があるからといって、「どこで受けても同じ」というわけではないのです。
実際に、当院にお越しになる患者さまの中には、他院で痛みや恐怖を感じた経験をお持ちの方もいらっしゃいます。
同じ抜歯なら、できるだけ早く、そして痛みの少ないほうが良いですよね。 当院では、そんな患者さまの不安に寄り添いながら、できるだけ痛みの少ない安全な抜歯を心がけています。
